危険物取扱者 乙種 物理学及び化学⑨「熱化学方程式と溶解」

物理と化学(乙種)

ここでは物理学及び化学の8回目です。

「熱化学方程式と溶解」を学習します。

 

学習ポイントのまとめ

 

今回の章では以下をマスターすることを目的にしています。

 

※以下がすべて理解できていたら本章は飛ばしてもOKです。

反応熱とは化学反応に伴い、発生もしくは吸収される熱
燃焼熱は物質1molが燃焼した場合の反応熱
生成熱は単体から1 molの化合物を合成する反応の伴う反応熱
分解熱は物質1molが分解した場合の反応熱
「熱化学方程式」は、化学反応式に反応熱の値を書き加えた方程式
・物質がある液体に溶けることを「溶解」
・溶けた物質を「溶質」、溶かした液体を「溶媒」、溶質が溶媒に溶けた液体を「溶液」
・濃度(%) =(溶質の質量÷溶液の質量)×100

反応熱とは化学反応に伴い、発生もしくは吸収される熱

 

反応熱とは化学反応に伴い、発生もしくは吸収される熱です。

反応熱:
化学反応によって発生、吸収される熱

反応熱の種類

反応熱には発生原因となった化学反応の種類に応じた名称が設定されています

 

燃焼によって生じた反応熱は「燃焼熱」、生成によって生じた熱は「生成熱」、分解によって生じた熱を「分解熱」と呼びます。詳細に定義すると次のようになります。

燃焼熱:
物質1molが燃焼した場合の反応熱
生成熱:
物質を構成する単体から1 molの化合物を合成する反応の伴う反応熱
分解熱:
物質1molが各元素に分解した場合の反応熱

 

 

熱化学方程式は化学反応式に反応熱の値を書き加える

 

「熱化学方程式」は、化学反応式に反応熱の値を書き加えた方程式です。

 

式の一番右側に反応熱を記入します。化学反応式と異なり、矢印ではなくて「=」イコールで表すことが一般的です。

 

熱化学方程式:
化学反応式に反応熱の値を記載した方程式

 

※化学反応式と係数の関係について

危険物取扱者 乙種 物理学及び化学⑧「化学反応式」 係数で元素数を合わせる

 

化学反応によって熱が発生した場合は発熱反応 、熱を吸収した場合は吸熱反応と呼びます。発熱反応は「+」、吸熱反応は「-」で表します。

炭素と酸素が反応して二酸化炭素が生成する際の熱化学方程式

熱化学方程式:
C+O₂ = CO₂  + 394kJ

(発熱反応なので「+」を付ける)

 

熱化学方程式は「1molあたり」の反応熱で表します。

たとえば例えば炭素と酸素が反応して二酸化炭素が生成する場合は、炭素1molあたりの生成熱になります。このことは熱化学反応式において、炭素の係数は1としないといけないということです。

例として、炭素と酸素が反応して一酸化炭素が生成した場合のことを考えてみます。

(※係数を加味せず)
C+O₂ → CO

 

係数を記入すると次のようになります。

(※係数を加味)
2C+O₂ → 2CO

※化学反応式と係数の関係について

危険物取扱者 乙種 物理学及び化学⑧「化学反応式」 係数で元素数を合わせる

 

これは化学反応式としては正解ですが、炭素の係数を1としたい熱化学方程式としては不正解になります。炭素の係数が1になるように、全体を2で割ります。そして、矢印をイコールに変え、反応熱を記入して完成となります。

熱化学方程式
C + 1/2 O₂ = CO +111kJ

これが熱化学方程式で用いられる式になります。炭素の係数を1にするために、式中に分数が出てくる場合があるのが化学反応式との違いです。

 

溶液の濃度

物質がある液体に溶けることを「溶解」といいます。

このとき、溶けた物質を「溶質」、溶かした液体を「溶媒」、溶質が溶媒に溶けた液体を「溶液」とよびます。

例えば、食塩水の場合、食塩が「溶質」、水が「溶媒」、食塩水が「溶液」です。

溶解:
物質がある液体に溶けること
溶質:

溶解する物質。
食塩水であれば「塩」
溶媒:

溶質を溶解させる媒体。
食塩水であれば「水」
溶液:

溶質が溶媒に溶けた液体。
【動画解説】危険物取扱者 乙種 物理及び化学① 物質の三態

溶媒に溶ける溶質の量には限界があり、それを表したものが「溶解度」です。「溶解度」は溶媒100g中に溶解する溶質の量で表されます。

溶解度は温度によって変化し、例外もあるが温度が上がると溶解度が上がるものが多いです。これは「温めれば沢山溶ける」ということを表します。

 

また、溶液中にどれだけの溶質が溶解しているかを表す指標として「濃度」があります。「濃度」は以下の式で計算することができます。

濃度(%) =
(溶質の質量÷溶液の質量)×100

 

例えば、塩10gと水90gを使用して作った食塩水の濃度を考えます。

溶質の質量と溶液の質量は次のようになります。

溶質の質量:10g
溶液の質量:10g+90g =100g

 

よって、この食塩水の濃度は次のようになります。

濃度=
(10g÷100g)×100 = 10%

※濃度=(10g÷90g)×100 と計算しないように注意しましょう。
分母はあくまで「溶液の質量」です。

問題

問題 これができたらOK!

問1. 以下の反応熱の名称を答えなさい。

①物質1molが燃焼した場合の反応熱
②物質を構成する単体から1 molの化合物を合成する反応の伴う反応熱
③物質1molが各元素に分解した場合の反応熱

 

正解と解説

①燃焼熱
燃焼熱(ねんしょうねつ)とは、ある単位量の物質が完全燃焼した時に発生する熱量で、普通、物質1モル当たりの値が用いられ、単位はそれぞれ「J mol−1」「J g−1」で表されます。

②生成熱
生成熱は単体から化合物1molを生成するときの反応熱です。

③分解熱

分解熱は化合物1molが各元素に分解するときに発生する熱量です。

 

問2.熱化学方程式では、発熱反応では「-」、吸熱反応では「+」表記をして反応熱を表す。〇か×か。

正解と解説

正解:×

発熱反応は「+」、吸熱反応は「-」で表します。

 

問3.炭素1molが燃焼して二酸化炭素が生成する際の発熱量は394kJであるが、その場合の熱化学方程は以下の通りである。〇か×か。

C+O₂ = CO₂  + 394kJ

正解と解説

正解:〇

熱化学方程式では矢印ではなく「=」で表します。これが化学反応式との大きな違いです。

 

問4.以下の熱化学方程式を参考に、2molの炭素が燃焼した場合の発熱量を答えなさい。

C+O₂ = CO₂  + 394kJ

正解と解説

正解:788kJ

熱化学方程式では1mol当たりの燃焼熱を示します。問題では2mol当たりの発熱量と指定されていますので、熱化学方程式で表された熱量を2倍する必要があります。問題分から、炭素1molあたりの燃焼熱は394kJであることがわかるので、2molあたりは394×2で788kJとなります。

 

問5.以下の熱化学方程式を参考に、12gの炭素が燃焼した場合の発熱量を答えなさい。炭素の原子量は12、酸素の原子量は16とする。

C+O₂ = CO₂  + 394kJ

正解と解説

正解:394kJ

熱化学方程式では1mol当たりの燃焼熱を示します。問題では炭素12g当たりの発熱量と指定されています。炭素の原子量は12ですので、炭素12gは1molであることがわかります。問題文から、炭素1molあたりの燃焼熱は394kJであることがわかるので、正解は394kJとなります。

【動画解説】危険物取扱者 乙種 物理学及び化学⑥「原子・分子・物質量」 物質の構成要素から物質量の計算まで

 

問6.以下の熱化学方程式を参考に、炭素が燃焼して44gの二酸化炭素(CO₂)が発生した場合の発熱量を答えなさい。炭素の原子量は12、酸素の原子量は16とする(難関問題)

C+O₂ = CO₂  + 394kJ

正解と解説

正解:394kJ

問題文の熱化学方程式では炭素(C)と二酸化炭素(CO₂)の係数が1となっていますので、炭素1mol当たりから二酸化炭素1molが発生していることがわかります。二酸化炭素の分子式から分子量を計算すると(12+16+16=44)であることがわかりますので、44gの二酸化炭素(CO₂)は1molに相当することがわかります。よって、燃焼によって1molの二酸化炭素(CO₂)が発生するためには1molの炭素が燃焼する必要がですから、燃焼熱は394kJであることがわかります。

 

問7.塩10gと水90gを使用して作った食塩水の濃度を答えなさい。

正解と解説

正解:10%

濃度=(10g÷100g)×100 = 10%
※濃度=(10g÷90g)×100 と計算しないように注意しましょう。
分母はあくまで「溶液の質量」です。

リンク

危険物取扱者 乙種 物理学及び化学① 物質の3態

危険物取扱者 乙種 物理学及び化学② 密度と比重 Part.1

危険物取扱者 乙種 物理学及び化学③ 密度と比重 Part.2

危険物取扱者 乙種 物理学及び化学④ 「熱」  熱量・比熱・熱容量 熱の移動と熱膨張も一気に

危険物取扱者 乙種 物理学及び化学⑤ 「静電気」  発生原因と対策を全網羅!

危険物取扱者 乙種 物理学及び化学⑥「原子・分子・物質量」 物質の構成要素から物質量の計算まで

危険物取扱者 乙種 物理学及び化学⑦「純物質(単体&化合物)、混合物」 同素体と異性体も

コメント