危険物取扱者 乙種 法令①「危険物の分類」&「指定数量」

法令(乙種)

危険物取扱者 法令の1回目です。

「危険物の分類」と「指定数量」を学習します。

消防法上の危険物の基礎についてまとめました。

危険物というと幅広い意味がありますが、危険物取扱者では消防法の定義に基づいた物質や分類について知っておく必要があります。また、危険物を取り扱う際の基準となる数量である指定数量についても学習しておきましょう。

 

動画で学習する場合はこちら

危険物乙4!時間がない人向け「危険物の種類と指定数量」法令①

学習ポイントのまとめ

 

今回の章では以下をマスターすることを目的にしています。

 

・危険物とは消防法の別表第1に記載のある物質で、すべて液体か固体である
危険物は第1類から第6類までの6種類に分類される
・指定数量は、その数量以上を貯蔵・取扱いする場合に届出が必要になる基準となる数量
・倍率計算とは貯蔵量・取扱量を指定数量で割ることで求める
・異なる指定数量の物質を貯蔵・取り扱う場合、それぞれについて倍数計算を行って、最後にすべてを足すことで求める

危険物とは(危険物の定義)

 

危険物とは消防法という法律で定められた物質です。

消防法 | e-Gov法令検索
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毒や爆発物なども危険ではありますが、消防法で規定されているものでなければ消防法上の危険物には該当しません。

じゃあ、消防法ってなに?っていうと、第1条に目的が書いてあります。

 

消防法は火災を予防し、火災から人命や財産を守るためにある法律なのです。

第一条 この法律は、火災を予防し、警戒し及び鎮圧し、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、火災又は地震等の災害による被害を軽減するほか、災害等による傷病者の搬送を適切に行い、もつて安寧秩序を保持し、社会公共の福祉の増進に資することを目的とする。

 

法律ってなると、堅苦しい文言で書いてあってわかりにくいので、軽い気持ちで眺めてもらえたらよいです。

「火事にならないようにどうするか」、「火事になったときにどうするか」などをメインに学習することになります。

 

ただ、実は消防法だけではなくて、その他の規制、政令によっても規定されているんです。

 

Point:対象となる政令、規制

  1. 危険物の規制に関する政令
  2. 危険物の規制に関する規則

 

う~ん、紛らわしい!

 

私は原文も読むことがあるのですが、「あれ、消防法読んでも詳しく書いてないんだけど・・・」ってことが結構あるんですね。

むしろ、消防法が大まかなルールが書いてあって、細かくは規制や政令に記載されているといってもいいくらいだと思います。

 

危険物の特徴

この章のPoint:

  1. 危険物は「別表第一の品名欄に掲げる物品」
  2. 危険物にはガスなどの気体は含まれず、固体、液体のみが対象
  3. 危険物は大きく分けて3つの特徴

 

消防法の危険物はどのようなものがあるか、というと、「別表第一の品名欄に掲げる物品」として規定されています。

消防法を見てみるとこんな感じです(2条7項)

第二条 ⑦ 危険物とは、別表第一の品名欄に掲げる物品で、同表に定める区分に応じ同表の性質欄に掲げる性状を有するものをいう。

別表第一はのちほど学習しましょう。

ここでは危険物にはガスなどの気体は含まれず、固体、液体のみが対象、と覚えておきましょう。

もちろん、プロパンガスなどの可燃性のガスも危険なんですが、これは別の法律で規制されているので、消防法の対象じゃないんですね。

 

危険物は大きく分けて3つの特徴があります。いずれも火災につながる特長です。

  1. 火災を引き起こす可能性がある
  2. 火災が拡大する可能性が大きい
  3. 消火が困難である

危険物の分類(第1類から第6類まで)

それではさっそく別表第一を見ていきましょう。ものすごく多いですが、頑張りましょう!

 

まず、危険物は性質ごとに第1類から第6類までの6種類に分類されます。今の時点で細かく覚えるよりは、各類の詳細を確認する際に覚えていきましょう。

 

Point:危険物の分類(第1類から第6類まで)

  • 第1類 酸化性固体
  • 第2類 可燃性固体
  • 第3類 自然発火性物質及び禁水性物質
  • 第4類 引火性液体
  • 第5類 自己反応性物質
  • 第6類 酸化性液体

 

先に説明した通り、固体と液体しか含みませんからね。

 

類別 性質 特徴 品名
第一類 酸化性固体 それ自体は燃焼しません(不燃)。しかし、酸素を含んだ物質なので可燃物を酸化して激しい燃焼や爆発を引き起こす固体 一 塩素酸塩類
二 過塩素酸塩類
三 無機過酸化物
四 亜塩素酸塩類
五 臭素酸塩類
六 硝酸塩類
七 よう素酸塩類
八 過マンガン酸塩類
九 重クロム酸塩類
十 その他のもので政令で定めるもの
十一 前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの
第二類 可燃性固体 着火しやすい固体や低温で引火しやすい固体 一 硫化りん
二 赤りん
三 硫黄
四 鉄粉
五 金属粉
六 マグネシウム
七 その他のもので政令で定めるもの
八 前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの
九 引火性固体
第三類 自然発火性物質及び禁水性物質 空気や水と接触して、発火したり可燃性ガスを出したりする物質。 一 カリウム
二 ナトリウム
三 アルキルアルミニウム
四 アルキルリチウム
五 黄りん
六 アルカリ金属(カリウム及びナトリウムを除く。)及びアルカリ土類金属
七 有機金属化合物(アルキルアルミニウム及びアルキルリチウムを除く。)
八 金属の水素化物
九 金属のりん化物
十 カルシウム又はアルミニウムの炭化物
十一 その他のもので政令で定めるもの
十二 前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの
第四類 引火性液体 引火しやすい液体。ガソリンや灯油などの液体燃料がこの類になる。その中で、危険な順に細かく分類される。 一 特殊引火物
二 第一石油類
三 アルコール類
四 第二石油類
五 第三石油類
六 第四石油類
七 動植物油類
第五類 自己反応性物質 加熱や衝撃で、分子内に含まれる酸素が助燃剤となることで激しく燃えたり爆発したりする物質。 一 有機過酸化物
二 硝酸エステル類
三 ニトロ化合物
四 ニトロソ化合物
五 アゾ化合物
六 ジアゾ化合物
七 ヒドラジンの誘導体
八 ヒドロキシルアミン
九 ヒドロキシルアミン塩類
十 その他のもので政令で定めるもの
十一 前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの
第六類 酸化性液体 それ自体は燃焼しないが、可燃物を酸化して激しい燃焼や爆発を引き起こす液体 一 過塩素酸
二 過酸化水素
三 硝酸
四 その他のもので政令で定めるもの
五 前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの

 

 

 

指定数量

危険物を取り扱う際に重要なことは、その危険物の「種類」と取り扱う「量」です。

 

もちろん、危険な物質でも少量であれば危険性は下がりますし、比較的安全な物質であっても量が多ければ危険性は増しますよね。なので、危険物であったとしても、数量によっては消防法で規制されないケースがあるわけです。

 

その量を指定数量といいます。

 

指定数量というのは、その数量以上を取り扱ったり保管したりする場合に、届出が必要になる基準となる数量です。指定数量は危険物の分類や種類によって異なっていて、危険性が高い物質になるほど指定数量が少なくなります。

 

たとえば、家で個人が灯油やライター、調理用油を使用、保管をしていても問題になるケースは少ないです。これは消防法で定められた指定数量よりも小さい数量であるからです。(この指定数量を超えると、灯油でも消防法の対象となります)

 


指定数量

取り扱う際に届出が必要になる基準となる数量
危険性が高い物質ほど指定数量は小さい

 

これは多くの量を取り扱ったり保管すると火災や事故につながる可能性が高くなり、また被害も大きくなることが想定されるためです。

例えば、第4類の危険物であるジエチルエーテルは特殊引火物に指定される非常に危険度の高い物質ですので、指定数量も50Lと非常に小さいです。

しかしヤシ油(ココナッツオイル)は危険物の中でも比較的引火しにくいため、指定数量が10,000Lと非常に大きく設定されています。

指定数量は「危険物の規制に関する政令」に記載されています。

類別 品名・分類 性質 指定数量
第一類 第一種酸化性固体   50
第二種酸化性固体   300
第三種酸化性固体   1000
第二類 硫化りん   100
赤りん   100
硫黄   100
第一種可燃性固体   100
鉄粉   500
第二種可燃性固体   500
引火性固体   1000
第三類 カリウム   10
ナトリウム   10
アルキルアルミニウム   10
アルキルリチウム   10
第一種自然発火性物質及び禁水性物質   10
黄りん   20
第二種自然発火性物質及び禁水性物質   50
第三種自然発火性物質及び禁水性物質   300
第四類 特殊引火物   50
第一石油類 非水溶性液体 200L
水溶性液体 400L
アルコール類   400L
第二石油類 非水溶性液体 1000L
水溶性液体 2000L
第三石油類 非水溶性液体 2000L
水溶性液体 4000L
第四石油類   6000L
動植物油類   10000L
第五類 第一種自己反応性物質   10
第二種自己反応性物質   100
第六類     300

 

注意点としては、第4類の指定数量のみ単位がL(リットル)である点です。その他の類の指定数量はkgです。

危険物の倍数計算

指定数量を超えた場合においては、その指定数量の何倍量を取り扱うかで規制の厳しさが変わります。例えばガソリンを400L取り扱う場合、指定数量は200Lですので、400L÷200Lで指定数量の2倍量を取り扱うことになります

この、貯蔵量・取扱量を指定数量で割り倍率を計算することを倍率計算といいます。


倍率計算

貯蔵量・取扱量が指定数量の何倍か計算すること
指定数量で割ることで求める

 

例えばガソリンの指定数量は200Lですが、400Lを貯蔵や取り扱いをする場合は400L÷200Lで2倍となります。

ガソリン400Lを貯蔵する場合の倍率計算
400L(貯蔵量)÷200L(指定数量) = 2  よって2倍

 

次に、異なる指定数量の物質を複数貯蔵・取り扱う場合の倍数計算を見ていきます。計算方法としては、それぞれについて倍数計算を行って、最後にすべてを足すことで求めます。

例:ガソリン400L、灯油5,000Lを貯蔵・取り扱いする場合の倍数計算
ガソリンの倍数計算:400L÷200L = 2倍
灯油の倍数計算:5,000L÷1,000L = 5倍全体の倍数:2倍+5倍=7倍
倍数計算については、個々に割り算して最後に足すだけなので難易度は高くないのですが、指定数量を覚えておく必要があるので注意が必要です。

演習問題

問1. 消防法上の危険物に関する記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 危険物とは別表第一の品名欄に掲げる物品で、同表に定める区分に応じ同表の性質欄に掲げる性状を有するものである。
  2. 危険物はその種類に応じて第1類から第7類に分類される
  3. 指定数量とは特定の危険物を最低限貯蔵する必要のある量である
  4. 危険物にはプロパンガスなどの可燃性ガスが含まれる
  5. 倍数計算は指定数量を貯蔵量で割ることで求める

 

正解と解説

正解:1

  1. 正しい
  2. 誤り 危険物は性質ごとに第1類から第6類までの6種類に分類されます
  3. 誤り 指定数量は、その数量以上を取り扱ったり保管したりする場合に、届出が必要になる基準となる数量です。
  4. 誤り 危険物にはガスなどの気体は含まれず、固体、液体のみが対象になります。
  5. 誤り 倍数計算は貯蔵量を指定数量で割ることで求める

 

 

問2. 以下の文章の中で正しい選択肢はどれが答えなさい。

  1. 指定数量以下であっても危険物を無資格者が取り扱うことはいかなる場合も禁止されている
  2. 物質の危険度が高いほど指定数量は大きい
  3. 水素は気体であるため消防法上の危険物に該当しない
  4. 消防法上の危険物はすべて可燃性である
  5. 第1類危険物は「酸化性液体」である

 

正解と解説

正解:3

  1. 誤り 灯油や調理油など、指定数量以下であれば無資格者でも取り扱うことができます。
  2. 誤り 危険度が高いほど指定数量は小さくなります。
  3. 正しい
  4. 誤り 不燃性であり単独では燃えない物質もあります。
  5. 誤り 第1類危険物は「酸化性固体」です。

 

 

問3. 次の危険物に関する説明として誤っているものはどれか。

  1. 第1類は酸化性固体で、それ自体は不燃だが可燃物を酸化して激しい燃焼や爆発を引き起こす
  2. 第2類は可燃性固体で、着火しやすい、低温で引火しやすいといった性質を持つ
  3. 第3類は自然発火性物質及び禁水性物質で、空気や水と接触して、発火したり可燃性ガスを出したりする
  4. 第4類は引火性液体で、ガソリンや灯油などの引火しやすい液体燃料はこの類になる
  5. 第5類は酸化性液体で、それ自体は燃焼しないが、可燃物を酸化して激しい燃焼や爆発を引き起こす液体である

 

正解と解説

正解:5

  1. 正解
  2. 正解
  3. 正解
  4. 正解
  5. 誤り 第5類は自己反応性物質で、加熱や衝撃で、分子内に含まれる酸素が助燃剤となることで激しく燃えたり爆発したりする物質。酸化性液体は第6類である。

 

 

問4. 消防法別表第一に記載されていないものはどれか。

  1. 塩素酸塩類
  2. 硫化りん
  3. カリウム
  4. クロルスロン
  5. 有機過酸化物

 

正解と解説

正解:4

  1. 正解
  2. 正解
  3. 正解
  4. 誤り
  5. 正解

 

 

問5. 指定数量に関する記述として誤っているものはどれか。

  1. 指定数量は、その数量以上を取り扱ったり保管したりする場合に、届出が必要になる数量である
  2. 指定数量は危険性が高い物質になるほど大きくなる
  3. 第4類の特殊引火物の指定数量は50Lである
  4. 第3類のナトリウムの指定数量は10kgである
  5. 第1類の第一種酸化性固体の指定数長は50kgである

 

正解と解説

正解:2

  1. 正解
  2. 誤り 指定数量は危険性が高い物質になるほど小さくなります
  3. 正解
  4. 正解
  5. 正解

 

 

問6. 次の危険物のなかで、最も指定数量が小さいものはどれか。

  1. 硫黄
  2. アルキルアルミニウム
  3. 鉄粉
  4. 黄りん
  5. 第一種酸化性固体

 

正解と解説

正解:2

  1. 100kg
  2. 10kg
  3. 500kg
  4. 20kg
  5. 50kg

 

 

問7. ガソリン400L、灯油5,000Lを貯蔵している場合、貯蔵量は指定数量の何倍か。

  1. 2倍
  2. 5倍
  3. 7倍
  4. 9倍
  5. 12倍

 

正解と解説

正解:3
ガソリンの倍数計算:400L÷200L = 2倍
灯油の倍数計算:5,000L÷1,000L = 5倍
全体の倍数:2倍+5倍=7倍

 

リンク

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