危険物取扱者 乙種 法令⑦「保安距離」&「保有空地」 対象施設の違いと、施設ごとの距離を一覧で理解する

法令(乙種)

危険物取扱者 法令の7回目です。

「保安距離」&「保有空地」を学習します。

製造所等は市街地の中心よりも少し離れた地域に設置されていることが多かったり、製造所周辺も殺風景なことが多いです。

この理由の一つに、製造所等の設置には対象となる建築物から一定の距離を離すように設定されていたり、万が一のときに備え、消火活動がスムーズに行えるように何も障害物がない空地を設定するように決められているからです。

 

この色枠部分は法令より引用・抜粋した部分を表記しています。

保安距離の設定が必要な製造所等と、必要な距離

 

製造所等には万が一、火災などの災害が発生した場合に、被害を最小限に食い止めるための延焼防止、避難などの目的から、特定の建築物と一定の距離をとるように定められています。

これを「保安距離」といいます。(危険物の規制に関する政令 第九条)

保安距離の設定が必要な製造所等は以下の5つになります。

  1. 製造所
  2. 屋内貯蔵所
  3. 屋外タンク貯蔵所
  4. 屋外貯蔵所
  5. 一般取扱所

 

保安距離は以下の建築物を対象に、その距離が定められています。

また、保安距離の測定は、製造所等の建物やタンクの「外壁」からの距離になります。

 

対象建築物 保安距離
特別高圧架空電線(7,000~35,000V) 3m以上
特別高圧架空電線(35,000V~) 5m以上
住宅 (製造所と同一の敷地内にあるものを除く) 10m以上
高圧ガス施設 20m以上
学校、病院、劇場など 多くの人が集まる施設 30m以上
重要文化財、史跡 など 50m以上

保有空地

製造所等では、延焼を防止したり、消火活動を円滑に行うために、製造所周辺には何も置いてはいけない空地を設定しておくことが定められています。

これを「保有空地」といいます。(危険物の規制に関する政令 第九条)

保有空地の設定が必要な製造所等は以下の6つになります。

  1. 製造所
  2. 屋内貯蔵所
  3. 屋外タンク貯蔵所
  4. 屋外貯蔵所
  5. 一般取扱所
  6. 簡易タンク貯蔵所

 

また、必要な保有空地は施設の種類や取扱い・貯蔵している危険物の数量によって異なります。それぞれに必要な保有空地を確認していきます。

「製造所の保有空地」は指定数量の倍数によって異なる

製造所に必要な保有空地の広さは、取り扱っている危険物の量が指定数量の10倍以上か以下、で区分されています。

10以下であれば3m以上、10を超える場合は5m以上となります。

指定数量の倍数 空地の幅
10以下の製造所 3m以上
10を超える製造所 5m以上

 

「屋内貯蔵所の保有空地」は指定数量の倍数と、耐火構造かどうかで区分される

屋内貯蔵所の場合、製造所よりも細かく空地の条件が設定されています。

指定数量の倍数による区分と、建物の構造が耐火構造かどうかによっても区分されます(危険物の規制に関する政令 第十条)。

区分 空地の幅
指定数量の倍数 建築物の壁、柱及び床が
耐火構造である場合
上欄に掲げる場合以外の場合
5以下 0.5m以上
5を超え10以下 1m以上 1.5m以上
10を超え20以下 2m以上 3m以上
20を超え50以下 3m以上 5m以上
50を超え200以下 5m以上 10m以上
200を超える 10m以上 15m以上

 

「屋外タンク貯蔵所の保有空地」は指定数量の倍数で区分されるが、4,000倍と超えると例外あり

屋外タンク貯蔵所

屋外タンク貯蔵所の場合は指定数量の倍数による区分で保有空地が設定されます。

しかし、4,000倍を超えるケースにおいては、「タンクの水平断面の最大直径か、高さの数値のうち大きいものに等しい距離以上。ただし15m未満であつてはならない」と、決められています。

区分 空地の幅
500以下 3m以上
500を超え1000以下 5m以上
1000を超え2000以下 9m以上
2000を超え3000以下 12m以上
3000を超え4000以下 15m以上
4000を超える タンクの水平断面の最大直径または高さの数値のうち大きいものに等しい距離以上。ただし15m未満であつてはならない。

「屋外貯蔵所の保有空地」も指定数量の倍数によって区分される

屋外貯蔵所は指定数量のみで設定されています。
区分 空地の幅
10以下 3m以上
10を超え20以下 6m以上
20を超え50以下 10m以上
50を超え200以下 20m以上
200を超える 30m以上

 

「簡易タンク貯蔵所の保有空地」は屋外に設置の場合のみ1m必要

簡易タンク貯蔵所の場合は、屋外に設置する場合のみ1m以上の保有空地の設定が定められています。

 

演習問題

問1. 保安距離の設定が必要な対象施設として誤っているものはどれか。

  1. 特別高圧架空電線(7,000~35,000V)
  2. 特別高圧架空電線(35,000V~)
  3. 住宅 (製造所と同一の敷地内にあるものを除く)
  4. 高圧ガス施設
  5. 水田
正解と解説

正解:5

  1. 正しい
  2. 正しい
  3. 正しい
  4. 正しい
  5. 誤り

 

問2. 保安距離の設定が必要な施設として、正しいものはいくつあるか。

  1. 製造所
  2. 屋内貯蔵所
  3. 移動タンク貯蔵所
  4. 簡易タンク貯蔵所
  5. 地下タンク貯蔵所
正解と解説

正解:2つ

  1. 正しい
  2. 正しい
  3. 誤り
  4. 誤り
  5. 誤り

問3. 次の記述のなかで、正しいものはどれか。

  1. 保安距離の測定は、製造所等の建物やタンクの「内壁」からの距離である
  2. 必要な保有空地は施設によって異ならず、常に一定の幅が求められる
  3. 貯蔵タンク建築物に必要な保有空地は、壁、柱及び床が耐火構造かどうかによっても異なる
  4. 屋外タンク貯蔵所の保有空地は指定数量の倍数で区分されるが、1,000倍と超えると例外あり
  5. 簡易タンク貯蔵所の場合は、屋内に設置する場合のみ1m以上の保有空地の設定が定められている
正解と解説

解答:3

  1. 誤り 保安距離の測定は、製造所等の建物やタンクの「外壁」からの距離になります。
  2. 誤り 必要な保有空地は施設の種類や取扱い・貯蔵している危険物の数量によって異なります。
  3. 正解
  4. 誤り 4,000倍と超えると例外あり
  5. 誤り 簡易タンク貯蔵所の場合は、屋外に設置する場合のみ1m以上の保有空地の設定が定められている

 

問4. 保安距離の設定として、正しい組み合わせはどれか。

  対象建築物 保安距離
(1) 特別高圧架空電線(7,000~35,000V) 5m以上
(2) 特別高圧架空電線(35,000V~) 7m以上
(3) 住宅 (製造所と同一の敷地内にあるものを除く) 20m以上
(4) 高圧ガス施設 25m以上
(5) 学校、病院、劇場など 多くの人が集まる施設 30m以上
正解と解説

正解:(5) 正しい組み合わせは以下の通りです。

  対象建築物 保安距離
(1) 特別高圧架空電線(7,000~35,000V) 3m以上
(2) 特別高圧架空電線(35,000V~) 5m以上
(3) 住宅 (製造所と同一の敷地内にあるものを除く) 10m以上
(4) 高圧ガス施設 20m以上
(5) 学校、病院、劇場など 多くの人が集まる施設 30m以上

リンク

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